• 医師募集
  • 非常勤医師募集
  • 研修医募集
  • 佐賀県感染症情報センター
  • 健康診断・人間ドックのご案内
  • 新武雄病院facebookページ
  • 新武雄病院インフォメーションMOVIE
  • 医療搬送用ヘリコプター「ホワイトバード」
  • 回復期リハビリテーション.net
  • 最新版Adobe Readerダウンロード(無償)

三叉神経痛


症状:


三叉神経は、左右に一対あり、それぞれ顔面の半分の感覚をつかさどっている神経です。 三叉神経痛は、この神経が刺激されることで、伝わった情報が「痛み」として認識されてしまうもので、鼻の横や、歯ぐき、目の周りなどに、激痛が起こります。 典型的には、歯みがきや洗顔、冷たい風が顔に当たるなどの刺激が引き金(「トリガー」)になって、痛みが起こります。 ときに、歯の病気と思い、歯科治療を受けられている方もおられます。 三叉神経痛の痛みは、人間が感じる痛みの中でも最も痛い痛みと言われ、治療法のない時代には、これを苦にして自殺してしまう方もいたようです(自殺病という名でも知られていました)。 幸い、現在は有効な治療法がいくつか確立されています。

原因:


三叉神経は、脳の中枢部分である脳幹から出ており、頭蓋底の骨を貫通していきます。 顔面痙攣とは違い、三叉神経はこの間のどこで刺激を受けても痛みを感じます。 典型的には、脳槽といわれる、脳の周りの髄液という水がたまっている部分で、曲がりくねった動脈が三叉神経を圧迫しておこります。 また脳腫瘍があることで、三叉神経痛が起こることもあります。 ごく稀ですが、圧迫している血管がないにもかかわらず、三叉神経に原因不明なくびれが生じていて、手術により改善した方がおります。


診断:


基本的には症状(痛みの起こり方、起こる場所など)から診断します。 MRIを撮影することで、三叉神経に接触している血管や脳腫瘍がないかどうかを調べることができます。

治療:


三叉神経痛の治療としては、4通りの治療法が行われています。

1. くすりによる治療:


顔面痙攣と同じように、三叉神経痛も三叉神経への刺激が間違って脳に伝えられることにより起こります。 そのため神経の情報の伝わり方を低下させることで、痛みを抑えます。 抗てんかん薬のなかで、カルバマゼピンという薬が三叉神経痛に対しては非常に効果が高いです。 カルバマゼピンには副作用が出る方がおり、じんましんのような薬疹が起こることがあります。 その他、肝臓の働きが悪くなったり、あるいは逆に肝臓の酵素を増やすことで他の薬の作用を弱めることがあります。 痛み止めのなかではプレガバリンという種類の鎮痛薬が有効な方もいます。 このような内服薬で有効な方でも、次第に量を増やさないとコントロールできなくなることも多く、その場合には眠気、めまい、ふらつきなどで日常生活に支障が出ることも多く経験されます。

2. 神経ブロック:


顔から針を刺して、三叉神経のなかの神経節と呼ばれる部分に麻酔薬を注射したり、熱を加えて三叉神経をまひさせることで、痛みが伝わるのを防ぎます。 ペインクリニックで行われる治療法です。長所は手術と比べると簡便であることです。 短所としては、時間が経つにつれて効果が薄れてくるため、半年から2年くらいの頻度で治療を繰り返す必要があることと、歯医者さんで麻酔をしたときのように、顔がしびれた感じになることですが、95%位の方で高い満足がえられるようです。

3. ガンマナイフ:


ガンマナイフはガンマ線という放射線を、虫眼鏡で紙を焼くように、ごく狭い範囲に集中させることで、この狭い範囲にエネルギーを集めて病変を「灼く」治療です。 三叉神経痛に対しては2015年に保険が通りましたが、三叉神経をガンマ線で「灼い」て、傷めることで痛みを治す治療です。 フランスのグループからの報告(2015年)では、91%の方が治療後10日以内に痛みがなくなり、治療後3年で71%、10年で45%の方が内服薬なしで痛みもない状態を維持できていた、としています。 しびれ(感覚低下)は、およそ5人に1人の割合で起こり、改善はないようです。

4. 手術:


上記3つの治療法に比べて効果的かつ根治的な治療法であり、当院では顔面痙攣の手術同様に積極的に提案しております。 三叉神経は三叉神経に動脈や脳腫瘍が接触して起こっているため、これに対して直接操作を行って治療します。 病気の原因に対する治療になるため、根本的な治療と言え、約9割の方は、内服や通院の必要がなくなります。 典型的な、動脈が圧迫している三叉神経痛の場合には、耳の後に5cm程度の切開をおき、10円玉くらいの孔から三叉神経をのぞき込んで、当たっている動脈や静脈を移動させ、三叉神経の周りのクモ膜を切開して捻れがおこらないようにします。 欠点としては、全身麻酔が必要であり、入院治療(10日程度)が必要なこと、手術の合併症のリスクがあります。 手術で起こりうる合併症としては、同じ側の聴力低下, 二重に見えるようになること,同じ側の顔のしびれ,傷の感染や髄液漏れなどが2-3%です。 また、10年間で約8%の再発の可能性があります。生命にかかわることは基本的にはありません。 当術者は、これまでに約120例の治療実績があります。




顔面痙攣


症状:


疲れ目などで、まぶたがピクピクする、というのは比較的多くの方が経験することだと思います(眼瞼痙攣)。 これとは異なり、通常、右か左の片側だけ、かってにウィンクするように目の周りが痙攣したり、口が引っ張られるように痙攣するのが顔面痙攣(片側顔面痙攣)です。  人と話したり、緊張したりすると起こりやすい方が多いです。 脳神経外科で扱う病気の中では珍しいのですが、命に関わる病気ではありません。 しかし、顔はもっとも人目につきやすく、対面を嫌うようになったり、運転中に起こると遠近感がつかみにくくなったりして困るという方もいます。 また、診察上は、それほど強い顔面痙攣ではないものの、始終ピクピクしたりひきつっていることで、集中できないということで受診される方も多いです。

原因:


顔面神経は、脳幹と呼ばれる脳の中枢部分から出ており、頭蓋骨の内側にある孔に入った後、顔面の筋肉に命令を送るようになります。 顔面痙攣を起こしている方では、顔面神経が脳幹から別れる部分で、動脈(ときに静脈)が顔面神経を圧迫しており、このせいで神経に異常な信号が出てしまい、その間違った命令が筋肉につたわることで、顔面の筋肉が勝手に収縮して、痙攣を起こします。 異常な伝導のため、口を動かすのにまぶたも動いてしまうのも特徴的な現象です。


経過:


痙攣が軽い方で、まれに自然に良くなる方がいらっしゃいますが、顔面神経が脳幹からわかれる部分はちょうど「わきの下」のようにくぼんでいて、そこに動脈がはまり込んでいる方が多いです。 そのため、自然に良くなることは少ないと考えられます。


治療法:


片側顔面痙攣の治療法としては3通りあります。

1. くすりによる治療:


顔面痙攣は、神経が異常に興奮しておこります。そのため、神経の興奮や伝達を抑える薬が有効なことがあります。 そのような抗てんかん薬のうちクロナゼパムという薬は、顔面痙攣に効果がありますが、個人差が大きいです。 また、クロナゼパムを内服すると、ぼうっとしたり、眠くなってしまい、仕事に支障が出る、危なくて運転できないという方も少なからずいます。 私の経験上、内服薬の効果は低く、その割に眠気やふらつきをきたすことが多く、あまり勧めておりません。


2. 神経ブロック:


ボツリヌス毒という神経毒があります。これを少量、痙攣している筋肉に注射することで、筋肉の収縮を抑えることで、顔面の痙攣を抑えます。 3分ほどの処置(その後15-30分ほどの観察)で、比較的安全、簡便なことが長所です。 一方、この治療は人工的に軽い顔面麻痺を起こさせる治療なので、注射する量によっては、治療した側が無表情になってしまったり、顔面の左右対称性に乏しく感じることがあります。 次に、この注射薬は毒素なので、からだが自然に分解してしまうことで、徐々に効果が薄れてきます。そのため、およそ3-4か月ごとに注射を繰り返す必要が生じます。 また、注射を繰り返しているうちに、予防接種と同じように、患者さん自身のからだの中に、抗体と呼ばれる防御因子ができ、すぐにボトックスを分解してしまうようになります。 ボトックス自体は、筋肉の収縮を弱める治療なので、ご本人の感覚としてはピクピクが残っているように感じるというのも、欠点の一つです。 他院では神経内科、ペインクリニック、眼科などの外来で通常行われますが、当院では脳神経外科外来で行っておりますので、他の治療法への移行がスムースに行えます。


3. 手術:


上記2つの治療法に比べて効果的かつ根治的な治療法であり、積極的に提案しております。 これは、症状が出ている側の、耳の後の部分に切開をおき、頭蓋骨に開けた10円玉くらいの穴から顔面神経をのぞき込んで、顔面神経に当たっている動脈を移動させるという治療です。 髪の毛は切る部分の周りのみ切らせていただきます。脳神経外科手術用顕微鏡を使用して、動脈による顔面神経の圧迫を解除します。手術中に顔面の筋電図検査を行い、治療効果の目安にします。 また、手術中に聴性脳幹反射モニタリング(耳からの音刺激での脳波を測定し、術後の聴力に影響が出ないようにする手法)を併用します。 病気の原因となっている部分を治療するという意味で、根本的な治療であり、初回手術の顔面痙攣治癒率は9割程度です。 欠点としては、全身麻酔が必要であり、入院治療(10日程度)が必要なこと、手術の合併症のリスクがあります。 手術で起こりうる合併症としては、同じ側の聴力低下, うまく飲み込めなくなってリハビリが必要になる、傷の感染や髄液漏れなどが2-3%です。生命にかかわることは基本的にはありません。 退院後は手術創の状態を確認させていただくため、概ね退院後2週間、6週間後に外来に来ていただき、術後6ヶ月および1年後でも顔面痙攣がないことを確認して、終診となります。 当術者は、これまでに約150例の治療実績があります。



*図は日本ストライカー株式会社発行の"患者さんの手引き 顔に出る「痛み」や「けいれん」の話"から引用